はじめて就職活動を始めた時のエピソード

はじめて就職活動を始めた時のエピソード

大学進学を考えていなかった私は

大学進学を考えていなかった私は、高校の紹介でヘアーブラシなどを製造しているメーカーに応募することになった。
面接当日。緊張しながら制服のまま会社に出向いた。筆記テストなどは特になく、工場見学と面接のみであった。「これは受かったな」と、根拠もない自信が込み上げてきた。面接も終わり挨拶をして、さあ帰ろうという時に事件は起きた。挨拶しながらドアを出ようとして、思い切り扉に頭をぶつけてしまったのだ。痛い、しかし、これ以上失敗するわけにもいかない。痛む頭を押さえながら、私は慌てておじぎをして会社を飛び出した。
泣きそうになった。結果は、不合格。
前年にバブルがはじけ、ひとつの求人に何人もの生徒が群がった。その中で私は、その会社を受ける権利を勝ち取ったが、応募者は私の高校だけではなかった。忘れられないのは、私が応募する権利を得たせいで、受ける資格を失った子が友達を使って結果を聞きにきたことだ。不合格の旨を聞いたその子は「やった!」と喜んでいた。
これは20年以上経った今でも、思い出すと胸が痛む忘れられないエピソードだ。今にして思えば、皆幼いなりに生きていくのに必死だったんだろう。それから、高校を卒業して何十社と求人に応募して、なんとか無事に就職できたけれど、もし、あの時頭を打たなかったらどんな人生だったのかと、今でもふと考えることがある。


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